同じ名前なのに答えが変わるのはなぜか
同じ名前のサービスでも答えが変わるのは、中で動くモデルが新しいバージョンに入れ替わるからである。ChatGPT (OpenAI) / Claude (Anthropic) / Gemini (Google) のような名前はサービスの名前で、中のモデルには別の名前がある。開発元が新しいモデルを出すと、アプリは多くの場合、利用者が何もしなくても新しいほうに切り替わる。
新しいバージョンは、同じ質問に別の書き方で答える。答えの長さや口調が変わり、前は解けた問題を落とすこともある。仕事の手順に LLM (大規模言語モデル。文章を読んで答えを書くプログラム) を組み込んでいるなら、サービスの名前ではなくモデルのバージョンで管理する。
なお、同じバージョンでも答えは毎回少しずつ違う。答えにばらつきを持たせる設定があるからで、バージョンの入れ替わりとは別の理由である。
サービス名とモデル名を分けて読む
サービスは画面や機能の集まりで、モデルはその中で文章を書く部分である。1 つのサービスの中で複数のモデルを選べることも多い。評価や価格はモデルごとに付くので、比べる時はモデルの名前で比べる。
入れ替わりは実際に起きていて、OpenAI は 2025 年 4 月 30 日に ChatGPT の GPT-4 を GPT-4o に置き換えた。以前に読んだ評価が、いま使っているサービスの中のモデルの評価とは限らない。
評価を読む前に、アプリの設定やモデルを選ぶ欄で、使っているモデルの名前を確かめておく。名前が分かれば、用途のページでそのモデルの評価と公開日を引ける。選ぶ欄に名前が出ないアプリなら、開発元のお知らせやヘルプのページに、いつどのモデルに替えたかが載っていることが多い。
番号や日付の付いた名前は何を表すか
モデルの名前には、世代を表す番号や、作った日を表す日付が付くことが多い。番号は世代の目安で、同じ世代の中には大きさや速さの違う物が並ぶ。番号の大小だけで新旧を決めず、公開日を見る。日付の付いた名前は、その日に固めたバージョンを指す。
開発元は、決まったバージョンを指す名前と、新しいバージョンに付け替わる名前の両方を用意していることがある。Google は 2026 年 10 月時点で、Gemini の名前を、安定したバージョン、プレビュー、latest、実験用の 4 つの型に分けている。安定したバージョンの名前はふつう変わらず、latest の付いた名前は新しいバージョンが出るたびに中身が差し替わる。Anthropic は同じ時点で、Claude のモデルの ID はどれも固定したバージョンを指し、その ID を使う限り中のモデルは変わらないと説明している。
名前の末尾に preview や latest の字が付く物は、後で中身が変わり得ると読む。仕事に使うなら、決まったバージョンを指す名前を選ぶ。
API ではバージョンを固定できる
アプリでは使うモデルを開発元が決めるが、API (プログラムから LLM を使う窓口) では使うモデルを自分で名前で指定する。固定したバージョンを指定すれば、開発元がそのバージョンの提供を終えるまで同じモデルが答える。答えの形がそろうので、分類や抽出のように毎回同じ形の答えが要る仕事に向く。
固定したバージョンにも終わりはある。Anthropic はモデルごとに、少なくともその日までは提供を続けるという日付を載せている。提供の終わりが近づいたら、次のバージョンに移る前に、いつもの質問で新旧の答えを比べ直す。
バージョンを固定する時は、使っているモデルの名前と、試した日と、その時の答えを残しておく。答えがおかしくなった時に、バージョンが替わったのか、指示や渡した資料が変わったのかを切り分けられる。アプリでも、気になった答えはモデルの名前と日付を添えて保存しておくと、後で比べられる。
アプリでは中のモデルが知らないうちに替わり、API では自分で替えると覚えておくと、答えが変わった時に原因を探しやすい。
新しい出来事を知らないのはなぜか
モデルは、ある日までに集めた文章から学ぶ。この最後の日を学習データの締め日という。締め日より後の出来事は学んだ文章に入っていないので、モデルは知らない。
Anthropic は 2026 年 10 月時点で、モデルごとに 2 つの日付を載せている。知識が最も多く確かな最後の日と、学習に使ったデータの範囲の最後の日である。前者より後の時期の話は、知っていても情報が薄いと読む。締め日はバージョンごとに決まるので、バージョンが替わると知っている範囲も変わることがある。
アプリが Web を検索して答える時は、締め日より後のことにも答えられる。検索しない時は、知らない出来事をもっともらしく作って答えることがある。新しい制度や価格、ニュースについて聞く時は、答えに付いた出典を開いて確かめる。
まとめ - 名前と公開日を見てから比べる
答えが変わったら、まず中のモデルのバージョンが替わっていないかを確かめる。評価はサービス名ではなくモデル名で読み、仕事に組み込むなら API でバージョンを固定する。新しい出来事を聞く時は、締め日より後かどうかを考え、出典で確かめる。
このサイトの用途のページの表には、モデルごとの公開日が載っている。チャットボットにするページで同じ開発元のバージョンが並んでいたら、公開日でどれが新しいかが分かる。新しいバージョンが古いバージョンより自分の仕事に合うかは、手元の質問で 2 つを並べて決める。